経済危機

 現在発生している経済問題は、構造的なものだと私は考える。

 不良債権問題を債権、債務、現在価値の問題に分解すると、債権は、住宅価格の問題であり。債務は、住宅ローンの問題である。そして、現在的価値は、返済資金の問題となる。
 サブプライム問題を解決するためには、返済資金、つまり、現在実現しうる貨幣価値を債権、債務の両面から捉える必要がある。その時、債権の裏付けである資産の変動性と負債の固定性をどう調和させて現在価値に集約するかが鍵となる。
 不良債権と、債権処理だけで解決しようとしても解決できるものではないと私は考える。

 雇用を担っているのは、中小企業である。SBAの資料によると、2004年現在、アメリカの全雇用企業数に占める中小企業の比率は、99.7%にのぼり、民間部門就業者数に占める比率は、50.9%、民間雇用者所得に占める比率は、44.3%をそれぞれ占めている。(「日本の中小企業」鹿野嘉昭著 東洋経済新報社)それを考えても景気を良くする鍵は、中小企業が担っている。また、金を回しているのは、根本的に日銭商売である。また、景気の変動によるダメージを受けやすいのも中小自営業者である。逆にしたたかに生き残るのも自営業者である。
 中小企業を成立させているのは、経済的に自立した自営業者、市民である。ささやかな成功者である。だからこそ、政治的な影響力も大きい。また、中小自営業者は、地域経済の要でもある。
 産業的には、新興産業よりも、斜陽産業と見られている、伝統的産業、コモディティ産業である。
 一見、新興産業は、新たな雇用と、需要を生み出すように見える。しかし、実際は、新興産業には、リスクも限界もあると、我々は、考えるべきである。バブルを引き起こし、市場の混乱を引き起こしているのが、新興産業である事が好例である。
 問題は、なぜ、伝統的産業やコモディティ産業が斜陽化したかである。それは、市場にある。つまり、市場が適正な価格を維持できないことにある。

 アメリカでは、中小企業は、銀行借入が困難で、規制が厳しいという日本の研究もある。何れにしても、市場の密度を高め、資金の円滑な循環を促す意味においても中小企業の育成は欠かせないと私は考える。

 重要なことは、産業や企業を保護することではなく。市場を保護することである。
 いつの時代でも夢は、町工場から生まれたのである。




                    


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