サブ・プライム

 私は、サブプライム問題は、現象論的な対処療法では解決できないと考えます。なぜならば、典型的な構造問題だからです。
 サブプライム問題は、一種の通貨制度の崩壊です。金融不安は、その結果に過ぎません。原因は、信用制度にあります。原因から治さないかぎり、根治できません。
 サブプライム問題のキーワード、住宅ローン、証券化、信用制度です。
 紙幣は、元々、証券が発達したものです。紙幣が創造されると、紙幣は、貨幣価値とそれと同量の債務と債権を発生させます。紙幣は、一種の証券ですから、市場に流通するようになり、債権を背景にして、貨幣としての効力を発揮させます。この証券は、元々は、債務、即ち、借金を根底に持っています。つまり、債務の信用を根拠にして、債権としての働きをするのです。債務の信用が保たれている内は、紙幣は、貨幣としての働きを果たしますが、債務の信用が失われると信用システムが土台から崩れてしまうことになります。
 サブ・プライム問題は、住宅ローンという債務を基礎とした信用システムの崩壊なのです。これを根治するためには、信用システムそのものを立て直す必要があります。
 サブ・プライム問題の構造は、先ず土台の住宅ローンという債務の信用が失われたことにあります。もう一つ、重要なのは、悪質の証券が流通したと言う点です。悪貨が、良貨を駆逐したという状況です。つまり、土台が腐っている上に、柱がボロボロになってしまったという事です。
 故に、第一に、基礎固めからはじめなければなりません。この場合のキーワードは、与信です。つまり、債務の信用を取り戻すことです。
 債務の信用を取り戻すという事は、住宅ローンの信用を取り戻すことを意味します。むろん、その為には、住宅ローンの土台にある住宅市場を建て直すのも一つの手段ですが、例え、住宅問題が解決できたとしても、債務の信用を取り戻せるとは限りません。
 むしろ、債務の信用を回復することが先決だと思われます。その為には、債務の買い取りや肩代わりによって、債務そのものの返済を保証することも一つの手段だと考えます。何れにしても、原因は、住宅市況でなく。信用システムの土台である債務の与信の問題なのです。
 もう一つは、悪質な証券を切り分けることです。つまり、悪貨と良貨とを分離する事です。この判定は、元々、証券は、数式的に作られた物です。つまり、数式から基準を割り出すことが可能だと思われます。
 金融に関しては、金融不安の拡大を最小限に抑えることです。危険なのは、金融不安が拡大して他の信用システムまで波及することです。その為には、緊急処置的な対策もやむおえないと私は、考えます。




                                      


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