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戦 略 要 領


前  文

 人は、戦わざるをえない時がある。人は、戦わなければならない時がある。人は、好むと好まざるとに関わらず戦わざるをえない時がある。戦いを避けようとして臆病になるとかえって難を招く。
 戦いは、自己の存在と生存と正義を賭けて戦うのである。
 人は、生きなければならない。生きる為には、生きる為に必要な物を補給しなければならない。生きる為に必要な物資、資源には限りがある。全てを自足するのは難しい。自給自足できなければ、外から調達せざるをえない。外から調達するためには、相手の望む代償を用意しなければならない。相手の望む代償が準備できなければ、結局、力尽くで相手から奪わなければ、生存できなくなる。人は、飢えれば道義を忘れる。そこに、争いの種がある。
 戦いを望まないのならば、先ず自足することを画さなければならない。次に、相手の望む代償を手に入れる事に務めなければならない。それでもなお、相手に不足があれば、攻められる事を覚悟せねばならない。相手が侵略、略奪、搾取を諦めないかぎり、攻められる。故に、奪う者も奪われる者も、生存を賭けて戦うのである。 
 公正と正義は、我にある。戦いに敗れた時、相手の公正と正義に期待をしてはならない。例え、互いの利害が隠されていても、表に出るのは、大義名分である。結局、自分の信じるところと、相手の信じるところが相反するから戦いになるのである。戦いは、互いに、自らの大義に従って戦う。結果、戦いの後に残るのは、勝者の正義である。敗者に公正も正義も許されない。敗北とは屈服なのである。戦いに敗れた時、敗者が期待できるのは、勝者の憐憫と慈悲だけである。
 生存も正義も存在に関わる問題である。故に、人は、その存在をかけて戦わざるを得ないのである。
 故に、戦うと決めた限り、勝たねばならない。負ければ、生きていけなくなるからである。自己の存在が否定されるからである。自らの存亡がかかっているのである。自らが信じるところの正義が行われなくなるからである。


戦略要諦

1,戦略の要諦は、戦わずして勝にある。活人剣。軍は、凶器。一旦、戦端が開かれれば、国土は荒廃し、山野は焼かれ、経済は破綻し、幾万の人命が損なわれる。勝っても負けても、父母の嘆きは、天下に満ち、末代にまで遺恨が残る。戦うだけが戦略ではない。

2,近代戦は、野蛮である。相手を徹底的に殲滅しなければ終わらない。文明も、人類の叡智も、微塵もない。
 戦略の目的は、国際平和の維持と秩序の回復、そして、自国の安全と生存にある。経済的にも、政治的にも相手を叩きつぶし、組み従える事のみを目的とするかぎり、その目的は達成できない。真の戦略目的は、圧政と野望からの解放にある。
 
3,戦略の要訣は、相手の戦略的意図を挫くことである。

4,戦略は、芸術である。絵を描け。戦略に必要なのは、想像力・創造力である。

5,戦略は、ドラマである。ストーリーがある。

6,着想、大局。着手、小局。戦略は、大局観である。

7,戦略は、勝つための段取りである。段取りをとる時は、結果でなく、仕事を読む。個々の局面で結果を読めば、仕事は寸断される。勝敗は、仕事の読み合いで決まる。

8,戦略の要訣は、位置と運動と関係である。

9,戦略には、範囲がある。時間と空間と政治、経済の範囲がある。最初に範囲を特定せねばならない。

10,戦略には、核心がある。組織には、中枢がある。

11,無原則な拡大は命取りになる。

12,戦略の狙いは、要である。

13,戦略には、形がある。戦略には、展開がある。序盤、中盤、終局の展開がある。

14,目的と目標を明らかにし、見通しの立たない戦はするな。

15,戦略は、戦術ではない。戦うことばかり考えていたら、戦略は立てられない。

16、戦略は政略の一部である。戦闘ばかりを考えていたら戦略は成り立たない。しかし、戦略は一般の政治とは違う。戦略は、非常時の政治なのだ。
 戦略の解らない者を、政治家にしてはならない。戦略を知らぬ者は、政治家ではない。

17,話し合え!話し合いを重視せよ。話し合いは、政治と外交である。

18,よく見ろ!人を見ろ!時を見ろ!地形を見ろ!天候を見ろ!状況・情勢を見ろ!利害を見ろ!損得を見ろ!国を見ろ!経済を見ろ!敵を見ろ!自分を見ろ!現実を見ろ!

19,聞け!敵に聞け!味方に聞け!第三者に聞け!同盟者に聞け!仲間に聞け!専門家に聞け!現場に聞け!現地に聞け!人に聞け!時に聞け!世界に聞け!天に聞け!
 聞け!民の声!民の支持なくして戦略は成り立たない。

20,戦略は、経済である。政治である。外交である。行政である。宣伝である。運送である。情報である。戦闘である。そして、芸術である。

21,孤立するな!誰と手を結び、誰と同盟するかだ。しかし、それは外交である。

22,戦略とは、準備である。

23,悲観的に準備し、楽観的に決断する。

24,結果が出る前から後悔し。やる前から結果を求め。決めてもいないのに、実行し。計画も立てずに決断し。結論がでていないのに計画を立て。まとまってもいないのに、結論を出し。調べても居ないのに、まとめようとする。人の話を聞かずに調べようとし。解ってもいないのに人の話を聞こうともしない。

25,人は、さかのぼるように失敗を重ねる。
 やってみたけれどいい結果が出ないので計画を見直した。計画を見直したら、手続きや手順がでたらめなので、手続き・手順を調べなおした。段取り・手続きを見直したら、考えがまとまっていないのが解ったので、考えを整理することにした。考えを整理しようとしたら、肝心な事を調査していないので、調査し直した。調査からやり直そうとしたら、目的、目標が解っていないので、最初の話を確認しようとした。最初の話を確認しようとしたら、記録が残っていないので解らなくなった。人は、遡(さかのぼ)るようにして、失敗を重ねる。

26,策士は、策に溺れる。戦略家は、捨てることを覚えよ。策は、百、立てて、百捨てる覚悟必要だ。現実の場の判断は、現況に委ねられる。自分の策に拘泥し、未練がでれば、その未練が、敗因となる。

27,計算せよ!兵站と情報が死命を握る。戦略とは、算術である。作戦は、兵站と情報に基づく。最初に計算して、その後に戦え!

28,作戦は、兵站と情報に基づく。自らを知れ。自らの自足している所を知れ。自らの足りない所を知れ。

29,計算せよ!彼我の総力。国力。経済力。政治力。戦闘力。

30,敵は内部にもいる。

31,戦いは、消耗である。泥沼化を避けよ。

32,戦いは、現実である。感情である。怨念である。

33,妄想を捨てよ。幻想を持つな。安易な希望的観測にとらわれるな。絶望するな。現実を直視せよ。

34,真の作戦は、作戦の終了後に始まる。始めるのは容易い。収めることが難しい。後始末にこそ成否の鍵がある。戦略の要訣は、後始末にある。

35,当事者能力のない相手との戦いは長引く。当事者能力がなくなるまで壊滅してはならない。最初に、最後の決着を誰とつけるかを明確にしておく事。

36,戦わざるをえない状況・原因がある。

37,人は、予め決められた事はできる。されど、敗因は、予め決められた事以外にある。人は、予め定められたこと以外の出来事に遭遇すると動転する。実際の戦闘は心理学である。

38,やるべき事を決めてから仕事にかかれ。やるべき事を決するのは戦略である。為すべき事を為せ。為すべき事は天命である。

39,戦いは奇抜である。予測は不可能。何事も決めた通りには、行かない。しかし、何事も予め予測し、決めておかないと、捗(はかど)らない。

40,迅速!決断!戦うべき時を見損なうな。

41,一つ一つ階段を上るように決断せよ。決断を遅らせれば、階段は、消えていく。十日遅らせれば、縦断の壁ができる。一月遅らせれば崖となる。一年遅らせれば絶壁となる。一足飛びに結論へは至らない。

42,戦略は、決断である。男と女の違いは、決断にある。子を成すにあたって男は決断をせぬばならない。決断をせずに欲に負ければ、責任がとれない。女は、力に負けることがある。故に、男と女の差は、決断にある。欲を前にして自制できぬ者は、男ではない。そして、その決断は、人生の戦略である。

43,終わりのない戦いは、負けである。終わりのない戦略は、既に破綻している。

44,戦略は、経済である。経済の伴わない戦略は成り立たない。戦争には、費用がかかるのである。それも莫大な費用がかかるのである。戦いに勝っても経済的に破綻すれば、国を保つことはできない。戦争の根本は、生存なのである。

45、戦争で誰も儲けさせてはならない。

46,軍隊は、非生産的組織である。軍隊の拡大は、そのまま社会の負担・コストとなる事を忘れるな!

47,戦略家は、地理を学べ。文化人類学を学べ。歴史を学べ。心理学を学べ。芸術を学べ。人生を学べ。天命を知れ。そして、神を怖れよ。

48,成長発展は、膨張を意味する。膨張を制御できなければ必ず衝突が起こる。現代社会は、経済も政治も膨張を基礎としている。何もかも自由放任せよという主張は、人口爆発の抑制を自然の法則に任せよと言うに等しい。それは、戦いである。淘汰である。膨張を平和に抑止したければ話し合うしかない。規制するしかない。

49,偶発的な戦いは、終わりがない。算なき戦いは、破滅である。人の発想は、終わりからはいる。思い浮かぶのは、完成型である。だから、いきなり行動を起こせば始まる前に終わってしまう。だからこそ、構想や戦略、目的、目的を明らかにする必要があるのである。

50,最後は信仰である。祈りである。





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