続太極経済


中国の哲理は深淵にして玄妙である。
中国の偉大さは、中国の歴史によって育まれた。中国人が中国の伝統を顧みないのは、中国の不幸のみならず、人類の不幸である。

経済は、中庸にある。

現代の経済が乱れるのは、中庸が保たれないからである。
経済的価値には、人の必要性から生まれる価値、物の働きから生れる価値、お金と物との交換から生まれる価値の三つの要素がある。
この三つの要素の調和によって経済の中庸は保たれる。人が求める価値と物の働きの価値を貨幣価値が上回ると経済は成立しなくなる。
貨幣は、主たる価値を生み出せない。貨幣は従である。主たる価値は、人と物によって生み出される。
主たる存在を従たる貨幣が支配する事は、本末を転倒している。

貨幣価値は、陰の力であり。陰の力が強くなって物や人の働き、陽の働きが抑え込まれてしまうと経済は陰によって支配される。

世の中は、陽の部分だけではない。
世の中の争いは、陰の働きによると考えるのは間違いである。むしろ、陰の働きによって争いが封じ込められている場合もある。

太極は、混沌としている。
太極は天にある。太極は神にある。
天と神とは合一である。
天と神が和して東西南北一体となる。
陰陽の働きは、道徳の働きの外にある。

道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず。
万物は陰を負いて陽を抱き、沖気(ちゅうき)以(も)って和を為す。

事象には全体と部分がある。
全体の働きと部分の働きが調和した時、全体は安定した動きをすることができる。
部分が正しい働きをすれば全体を制御する事が可能となる。

全体は部分に支えられ、部分は、全体に守られる。

経済は、人・物・金からなる。
太極は、人にあり。物は陽、金は陰。

易に太極あり、これより両儀を生ず。両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。
八卦を重ねて六十四卦となす。

易は、吉凶悔吝を占う事であり、是非善悪を問う事ではない。

剛柔相推して、変その中に在り。辞を繋けてこれに命じ、動その中に在り。
剛柔がたがいにおし動かして、変はその中にある。卦爻にことばをかけて吉凶悔吝など名をつけて、動はその中にある。

決断するは吾にある。易は、決断を促す為の指針である。

故に、是非、善悪より、剛柔・強弱を見る。

強弱は、変動幅によって陰陽を判定する。変動幅が大きければ陽、小さければ陰とする。
何をもって基準と成すかによって易の相は変わる。
大切なのは、何を前提とするかである。

吉凶悔吝は、動に生ずる者なり。剛柔は、本(もと)を立つる者なり。変通は、時に趣(おもむ)く者なり。
吉・凶・悔・吝は、動きから生じるものである。剛・柔は、物事のはじめをたつものである。変・通は、時に対してめざすところのものである。

吉凶とは、貞(てい)にして勝つ者なり。天地の道は、貞にして観(しめ)す者なり。日月の道は、貞にして明らかなる者なり。天下の動は、かの一に貞なる者なり。
吉凶とは、正しくしてまさるものである。天地の道は、正しくして示すものである。日月の道は、正しくして明るいものである。天下の動きは、吉凶と同じく正しいものである。

陰陽と善悪、真偽、美醜の価値観は異なる。
陰か陽かは、善か悪か、真か偽か、美か醜かとは違う。
善の中にも陰も陽もあり、悪の中にも陰も陽もある。
争いや、乱れは、むしろ、陽にある。
平穏や安定は、陰にこそある。
陽だから、善。陰だから悪という訳ではない。

表に現れた陽ばかりを見ていても、裏にある陰を見ないと世の中の真実を知ることはできない。
何を是とし、何を非とするかは、表裏、陰陽合わせて見ないと定まらない。
表ばかりを見てもその裏に隠されている事が察知できなければ物事の真実を見極めることはできない。

世の中の動きには、陰陽がある。
世の中の陰陽を知らなければ、世界の動きを知ることはできない。

爻や象は易の中で動いて外に現われていず、吉凶の断により外に現われ、功績は変化によって現われ、聖人の気持ちは卦爻辞に現れる。
爻象は内に動いて、吉凶は外に見(あら)われ、功業は変に見(あら)われ、聖人の情は辞に見(あら)わる。

一変して二、二変して四、三変して八卦成る。
四変して十有六、五変して三十有二、六変して六十四卦備わる。

太極図は、探索木となる。
陰陽は、二進法である。
陰陽は、対称的である。
陰陽は、フラクタルである。
陰陽は、離散である。



易は、順列、組み合わせの問題だともいえる。
順列、組み合わせの問題だから、全体を俯瞰でき、また、個々の働きと全体の働きを同時にとらえる事ができる。
順列、組み合わせは、確立統計、集合論、群論の基礎ともなる。
故に、易は、数学であり、科学でもある。

先天八卦と後天八卦がある。
先天八卦は、坤・震・離・兌・乾・巽・坎・艮をもって一巡する。
後天八卦は、坎・艮・震・巽・離・坤・兌・乾をもって一巡する。

先天八卦は震巽を中心に生長を示す。
後天八卦は坤を中心に収蔵を示す。

 震 離 兌 乾 巽 坎 艮



(竹村亞希子 参照)

卦は、二地、三.天より生じる。

卦は、六爻から構成される。

下から初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻という。

上爻は、事物の表象を映し、初爻は、事物の本質を象徴する。
事物の全体を知るためには、中間の四爻を通過しなければならない。

陽爻は九で表し、陰爻は、六で表す。
陽は、奇数、陰は偶数。

六爻は、天、人、地の相を表す。

六爻は、位・時・中を表す。

初爻と上爻は、人の相。二爻、四爻は、物の相、三爻と五爻は、金の相。

六爻は、時の流れ、変化を表す。

六爻は、少、壮、老の三段階を示す。
そして、始生、漸盛、旺盛、盛極、始衰、転復の位がある。
また、潜伏、顕現、成長、躍動、飛躍、充足の変化がある。

六爻は、外卦と内卦に分かれる。

内の三爻が貞、主で本卦。外の三爻が悔、輔で之卦。貞と悔が交わる事で対立物は統一される。

外卦と内卦の同じ位置、例えば、初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻が陰陽を異にするのを応ず、同じ場合、応ぜずという。

二爻と四爻は陰位で三爻と五爻は陽位。初爻と上爻は位に入れない。

陽爻が陰位にある場合は、剛、陰に在り。陰爻が陽位にあるのを、柔、陽位に在るという。

爻と爻の関係、順逆を見る。

隣接する上下の爻が一陰一陽であれば比という。
上の爻は陽爻、下の爻を陰爻である場合は、承けるという。
上の爻は陰爻、下の爻を陽爻である場合は、乗という。


(竹村亞希子 参照)

初爻と四爻の関係をみる。なぜならば初爻と四爻は表裏の関係にあるからである。
同じように二爻と五爻、三爻と上爻の関係を見る。

二爻と五爻は、中爻である。
三爻と上爻の関係を確認する。
これらの関係を見たうえで中爻を重んじる。
そして、最後に初爻と上爻の関係を見る。

一つの卦に複数の変爻が表れた時は、本卦を基礎とする。
本卦は現状を示し、之爻(伏卦)は、趨勢を表している。

また、錯卦(裏卦)と綜卦(賓卦・反卦)が重要である。
本卦を裏返した卦が錯卦であり、本卦を逆から見た卦が綜卦という。

経済の卦は、人・物・金の働きを表す。
物と金との卦は、錯卦(裏卦)となる。
残高と働きとは、錯卦となる。

また、互卦も参考となる。

変爻は、本卦の変易を表す。変爻は、本卦の過去・未来の形と相を顕わしている。

剛は陽。柔は陰。
変動は陽、固定は陰。
短期は陽の働き、長期は陰の働き。

経営の卦は、できれば三期、あるいは、六期を比さなければならない。
一期も半期、四半期、できれば月次の相を比するといい。
そうすると変化の方向を見極める事ができる。

易に、変易、不易、簡易の三義あり。
何が変易で、何が不易かは認識の問題であり。
変易、不易は、前提によって変わる。
それを決めるのか人であり、簡易な事である。

変化の実相を知るためには、比と、構成と、変化を知る必要がある。
変化は、差として表す事ができる。

大切なの事は、何を変易とし、何を不易とするかである。

人の心は移ろいやすい。しかし、愛は不変である。その本質は単純である。

易を考察するうえで鍵を握っているのは、相と象である。
変わる事を相とし、変わらない事を象とするのである。

いくつかの卦を見て変化している部分、変化していない部分を見てその関係を明らかにする。

何が変わったか。何が、変わっていないか。その関係を明らかにする。
その次、爻の働きの強弱を見る。

易の根本は、二進法であり、パターン認識である。
これは現在の最先端技術に通じている。
二進法とパターン認識は象である。
変わらないのは、象である。

易の象には、探索木に通ずるものがある。
探索木が示すのは変易の象である。

経営は、最も幾を重んじる。幾と微を知り、機と微ををとらえ。機鋒鋭く幾略をもって時を中てる。

経営分析に易を用いるためには、何をどこに配するかが鍵となる。

経営は六十四相を持つ。

経営には、相があり、相を顕わすのは卦である。
経営の相を占うためには、何をどこに配するかが重要となる。
指標の配列を変えただけでも相や象は変化する。
また、どの指標を用いるかによっても相や象は変わる。

経営には太極あり、これより損益を生ず。損益は収益より生じ、収益は、総資本を基として八卦を生ず。八卦に金の流れを重ねて六十四卦となす。

一変して二、二変して四、三変して八卦成る。
四変して十有六、五変して三十有二、六変して六十四卦備わる。

太極から陰陽が生じる。
太極は一、陰陽は二。
取引から売り買いが生じる。
取引から貸し借りが生じる。
取引は一、売り買いは二。
取引は一、貸し借りは二。

経営の陰陽は、常に反転して卦を作る。
増収増益、減収増益、増収減益、減収減益の経営の四象の卦を作る。

経営の四象が経営の卦のすべてを支配している。

経営の四象は、物流の錯卦である。
金が出る時、物が入り。物が入る時、金が出る。
表面の卦の裏に、実物の卦が隠されている。
裏の卦にこそ実があり、表の卦は、虚である。

決算残高と金の働きとは、錯卦となる。
資産と費用が増加する時は、負債と資本、収益が増加する事を意味し。
資産と費用の減少は、負債、資本、収益の減少を意味する。
資産が増加する時、他の資産や費用が減少し。
負債が増加する時、資本や収益が減少する。




経営の内卦は、坤・震・離・兌・乾・巽・坎・艮をもって一巡する。これを先天八卦とする。
経営の外卦は、坎・艮・震・巽・離・坤・兌・乾をもって一巡する。これを後天八卦とする。

経営を占う場合、一つの方策として、内卦をキャッシュフローと外卦を期間損益と設定する事ができる。
初爻は、財務キャッシュフロー、二爻は、投資キャッシュフロー、三爻は、営業キャッシュフローとし。
四爻は、総資産の増減、五爻は、売上の増減、上爻は、利益の増減と設定する。

他の設定として考えられるのは、初爻を総資本の増減、二爻を費用の増減、三爻を収益の増減とし、四爻を純資本の増減、五爻を人件費の増減、上爻を利益の増減とする事等も考えられる。

投資は、本来陽である。陽である投資が、陰位である二爻に配置されるのは、支出である投資は、負の数、即ち、陰といして表れされるからである。お金は、陰陽を逆転させる働きがある。

以下は、前者の設定を前提として話を進める。

上爻は、利益の増減を表す。くれぐれも損益を表しているのではない。利益の増減を表している。故に、分析をする場合は、赤字か黒字かを確認する必要がある。

分析するにあたってまず、卦を見る前に、赤字か黒字かを見る。
赤字か黒字かは、費用対効果の水準を表している。
赤字か黒字かは、収益と利益の関係を表している。

経済は、資金の過不足によって動かされている。資金の不足を陰とし、資金の超過を陽とする。

  営業キャッシュフロー  投資キャッシュフロー   財務キャッシュフロー
 陽  本業が順調  守りの経営  導入・成長
 陰  本業が苦戦  攻めの経営 成熟・衰退 


次に、過去の損益の状態を見る。
創立から六年以上たっている場合は、六年間の損益に基づいて卦を立ててみる。
六年以下の場合は、一年間の推移によってもいい。

それから、収益の推移に利益の増減を照らし合わせてみる。
利益の推移は、経済主体の消長を表している。

そして、上爻と五爻、五爻と四爻、四爻と三爻、三爻と二爻、初爻と二爻との関係を見る。

次に上爻と三爻を見る。
上爻と三爻は、利益と営業キャッシュフローの関係を表している。利益とキャッシュフロー違いは、償却費と運転資本に現れる。
次に五爻と二爻を見る。五爻と二爻の関係は、投資の効果を表している。
二爻と五爻は、固定資産が核となる。負債と資本の増減、収益の増減をみる必要がある。
そして、初爻と四爻の関係を見る。

利益は、太極である。
利益は、一である。
一である利益は、経営の陰陽を生じる。

経営の陰陽は、常に反転して卦を作る。
増収増益、減収増益、増収減益、減収減益の経営の四象の卦を作る。

経営の四象が経営の卦のすべてを支配している。

経営の四象は、物流の錯卦である。
金が出る時、物が入り。物が入る時、金が出る。
表面の卦の裏に、実物の卦が隠されている。
裏の卦にこそ実があり、表の卦は、虚である。

増収増益の相は、乾と巽。増収減益の相は、坎と兌。減収増益の相は、艮と離。減収減益の相は、坤と震である。
比は、坎と兌、艮と離で、艮と離は、減収、則、陰が増益、則、陽を承け、坎と兌は、減益、則、陰が増益、則、陽の上に乗る。

外卦は、上段が利益、中段が収益、下段が総資本、総資産。
内卦は、上段が営業キャッシュフロー、中段が、投資キャッシュフロー、下段が財務キャッシュフローで構成されている。

上爻の利益に影響を与えるのは、主として費用の動向である。中でも原材料の動向や為替の動向に大きく左右される。また、人件費の働きも無視できない。
五爻の収益の陰陽に影響するのは、売上であり、売上は、単価と数量の積として表される。つまり、収益に影響するのは、単価の高低と数量の増減である。単価と数量は市場で決まる。
市場の拡縮と需給が収益に影響する。市場の成長は、収益に陽に作用する。
円高は、輸出産業には、輸出品の単価に上げ圧力、即ち、陽の力が働き、収益にたいする下げ圧力、即ち、陰の力が働く。輸入産業には、単価に下げ圧力、即ち陰の力が働き、それだけ収益に上げ圧力、陽の力が働く。
この様な作用が売り上げの相の裏で働いている。
四爻の総資産、総資本に影響するのは、固定資産と流動資産の構成と働きである。固定資産の働きは陰で、流動資産の働きは陽である。
また、総資本は、負債と資本の占有率や構成、力の強さが重要である。

三爻の営業キャッシュフローの陰陽に影響するのは、減価償却費、運転資本、金利である。
運転資本は、在庫と営業上の債権、債務から発生する。
減価償却費は、キャッシュフロー上は、陽に働く。在庫と債権は、陰に、債務は、陽に働く。
投資キャッシュフローは、営業キャシュフローに反映する。
二爻の投資キャッシュフローの増減は、政策が大きく影響する。投資の実行は、陰に働く。
初爻の財務キャッシュフローは、負債の増減、資本の増減の影響が大きい。そして、四爻の総資本、総資産に反映する。

中爻を重んじるのは、中爻が要にあるからである。
中爻は、二爻の投資キャッシュフローに五爻の収益が応じている象をしている。
投資キャッシュフローは、最も、主体的な勘定である。投資は、主体の意志、決断に基づく。一番操作可能であり、恣意的な勘定である。
投資キャッシュフローの結果が収益となり、成果として営業キャッシュフローと利益が出る。投資キャッシュフローは、総資産や純資産の基礎ともなる。
投資キャッシュフローは固定資産、固定負債、純資産、償却費に痕跡を残す。
営業キャッシュフローと利益の違いは、償却費と運転資本、そして、金利である。償却と金利の元は、投資にある。
投資キャッシュフローは、全ての項目の基となるゆえに、中爻を重んじるのである。

全体の動きを見たら損益の相を見る。
損益は、初爻として、売り上げ、二爻として売上総利益、三爻として営業利益、四爻として経常利益、五爻として税引き前純利益、上爻として税引き後純利益とする。

貸借の相を見る。
貸借は、初爻は、収益の増減。二爻は流動資産の増減。三爻は、固定資産の増減。四爻は、固定負債の増減。五爻を流動負債、上爻を純資産の増減とする。

また、初爻、純資産の増減。二爻、負債の増減。三爻、固定資産の増減。四爻、償却費の増減。五爻、運転資本の増減。上爻を利益の増減によって個々の科目の働きを見る。

お金の錯卦、裏卦が、人と物の動きを表している。
初爻を生産高の増減、二爻を、社員数の増減、三爻を在庫の増減、四爻を総資産の増減の増減、五爻を収益の増減、上を利益の増減とする。

個々の部分の働きを、三個の爻で独立させて見立てる事もできる。
その場合、上段を上爻、中段を中爻、下段を下爻とする。
例えば、上爻を利益、中爻を収益、下爻を費用としたり。
上爻を利益、中爻を運転資本、下爻を減価償却費。
上爻を純資産、中爻を固定負債、下爻を固定資産。
上爻を利益、中爻を収益、下爻を在庫。
上爻を利益、中爻を固定資産、下爻を収益。
上爻を利益、中爻を総資産、下爻を収益。
上爻を純利益、中爻を営業利益、下爻を収益。
上爻を利益、中爻を売上総利益、下爻を収益等とする。

上爻を利益、中爻を収益、下爻を社員数。
上爻を利益、中爻を収益、下爻を生産高(販売高)。



損益の相として見ると増収増益で財務規模を拡大している相である。
財務規模が拡大する原因は、総資本の側から見ると増資か負債の増加の二つである。
総資産の側から見ると固定資産か、流動資産のいずれかが増えている事による。
流動資産の中で特に注意すべきなのは、在庫の動向である。

キャッシュフローの相として見ると営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローいずれも陽である。ただ、注意すべきなのは、投資キャッシュフローが陽という事は、過去の投資したものを回収していることを意味すると言う点である。



損益の相として見ると増収増益でありながら財務を縮小している相である。
財務規模が縮小しているのは、減資か、負債の減少である。いずれにしても財務体質の強化を意味する。
資産の側から見ると固定資産の圧縮、例えば、不良資産の清算が考えられ、流動資産から見ると在庫の処分といった事が考えられる。

キャッシュフローは、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローがともに陽で、財務キャッシュフローが陰という相である。
投資キャッシュフローが陽というのは、固定資産や投資有価証券の売却、貸付金の回収などによる。



兌は、減益増収の相でありながら総資産を増やしている相である。
収益が拡大しているのに、思うように利益が増えない事を意味している。
収益の拡大に伴う運転資本の増加、費用の上昇に気を付ける必要がある。
一時的であるか否かが問題である。

キャッシュフローでは、営業キャッシュフローが縮小しているのを負債を増加させ、更に不足している分を資産や有価証券を処分し、または貸付金を回収する事で補っているとみられる。



減益増収であり、総資産、総資本も、縮小している相である。
収益が拡大している中で利益が減少している。収益の拡大によって費用が増えている可能性がある。また、過当競争による安売り合戦に陥っている危険性がある。即ち、市場に陰の力が働いていることが考えられるれ。
また、収益が拡大している時は、運転資本の動向に注意する必要がある。

キャッシュフロー面から見ると営業キャッシュフローと財務キャッシュフローが陰で、投資キャッシュフローが陽。
営業キャッシュフローが減少した分を過去の固定資産や有価証券を売却したり、貸付金を回収する事で補っている相である。さらに、負債や資本の圧縮をしている事が考えられる。



増益減収の相で、総資本、総資産が拡大している相である。
収益に翳りが見えるが利益が上がっているうちに何らかの投資をしている相である。
あるいは収益の減少によって運転資本が増大している危険性がある。

キャッシュフローは、営業キャッシュフローが陽で、投資キャッシュフローが陰、財務キャッシュフローが陽という相である。
営業キャッシュフローが拡大している中、より積極的に資金を調達して投資をしている相である。



損益から見ると増収減益で総資産、総資本を圧縮している相である。
基本的には、収益が拡大する中で利益を削って財務体質を改善しているとみられる。
ただ、利益として何を指標としているかによって見方も違ってくる。
利益にも、売上総利益、営業利益、経常利益、税引き前純利益、当期純利益の五つの利益がある。

キャッシュフローで見ると営業キャッシュフローで稼いだ金で費用や投資の支出を賄っているという相である。
キャッシュの中身だけを見れば理想的だが、上卦によっては違う側面が見えてくる。



震は、減収減益の相でありながら総資産、総資本が膨張している相である。業績がじり貧の中で負債が膨張している危険性がある。

キャッシュフローで見ると営業キャッシュフローと投資キャッシュフローが陰で、財務キャッシュフローが陽。これは、営業キャッシュフローが収縮しているのに、何らかの投資によって財務の負担が増加していることを示している。



減収減益の相であり、なおかつ、総資産、総資本を圧縮している。見ようによって清算を前提としている、あるいは、清算中の事業だと言える。

キャッシュフローから見ると営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローいずれも陰である。ただし、投資キャッシュフローが陰という事は何らかの投資をしているという意味であり、起死回生の策をとっている可能性がある。

内が艮で、外が乾か巽という形が理想的な形と言える。

初爻と四爻の関係をみる。初爻は、財務キャッシュフローを表し、四爻は総資産と総資本を表す。
財務キャッシュフローの動きは、総資本と総資産の動きを表す。総資産が陰で、総資本が陽である。
総資本は、負債と資本の動きを表す。負債が陰で、資本が陽である。
総資本の増減は、資本と負債の構成と動きに係る。
総資産は、固定資産と流動資産に分かれる。固定資産が陰で、流動資産が陽である。
二爻と五爻は、中爻である。卦の中核を表している。
二爻は、投資を表し。五爻は収益を表す。
故に、二爻と五爻の関係は、投資と収益の関係を表している。
投資を収益によって回収できるか。それが経営の鍵を握っている。だから、経営の中核を握っているのが中爻である二爻と五爻の働きなのである。
収益を見る時は、費用と収益で見なければならない。費用が陽で、収益が陰である。
なぜ中爻が重要かというと一般に市場の拡大に基づく企業成長は、投資と収益に支えられているからである。
次に、三爻と上爻の関係を見る。
営業キャッシュフローが利益に反映している。営業キャッシュフローと利益との差は、償却によって生じる。
故に、償却と利益の関係を見る。償却が陰で、利益が陽である。
最後に初爻と上爻の関係を見る。

個々の爻の状態を見る場合、陰の力が強いか、陽の力が強いかを測る必要がある。
個々の爻の卦を構成する要素、例えば、三爻であれば利益や償却の働きにも強弱がある。償却は陰で、利益を陽とするならば、三爻を構成する要素の陰陽にも強弱が生じる。利益の比率や働きによって陽の強弱も決まるのである。利益が上がっていても収益に勢いがなければ陽の力は弱い事になる。費用や償却の圧力が強くても陽は弱くなる。

易は、変化を表す。故に、利益は、赤字か、黒字かというよりも増減を見る。大切なのは変化なのである。

外卦と内卦の同じ位置、例えば、初爻と四爻、二爻と五爻、三爻と上爻が陰陽を異にするのを応ず、同じ場合、応ぜずという。
経営で見ると財務キャッシュフローと総資産の増減、投資キャッシュフローと収益の増減、営業キャッシュフローと利益の増減が陰陽を異にしていたら応じるとする。

また、投資キャッシュフローと総資産の増減が陰で、営業キャッシュフローと収益の増減が陽の時、位を得て正の位置にあるとする。

互卦は、初を投資キャッシュフロー、二を営業キャッシュフロー、三を総資産・総資本の増減。四を営業キャッシュフロー、五を総資本、総資産の増減、上を収益の増減を表す。
これは、投資と営業活動が総資産や総資本、そして、収益にどのような影響を与えるかを検証します。

キャッシュフローの内卦は、先天八卦とし、坤・震・離・兌・乾・巽・坎・艮をもって一巡する。
期間損益の外卦は、後天八卦とし、坎・艮・震・巽・離・坤・兌・乾をもって一巡する。

ミシシッピー大学のディキンソン博士は、企業のライフワークを創生期、成長期、成熟期、淘汰の時期、衰退期の五つの時期に分けた。
それを卦にしてみると震・離・艮・坤・乾・巽・兌・坎の順に並べられる。
震は創業期、離は成長期、艮は成熟期、坤、乾、巽となり、兌と坎は衰退期となる。





 
創生期 成長期 成熟期 淘汰期 淘汰期 淘汰期 衰退期 衰退期
営業キャッシュフロー
投資キャッシュフロー
財務キャッシュフロー

欧米のライフサイクルと東洋のライフサイクルの決定的な違いは、欧米型のライフサイクルは、不可逆的、一方向に流れているのに対し、東洋型のライフサイクルは、循環型である事である。

先天八卦によって、ライフサイクルを描くと坤・震・離・兌・乾・巽・坎・艮となる。

キャッシュフロー

営業キャッシュフロー
投資キャッシュフロー
財務キャッシュフロー

一元にして復た始まる。
物極まれば必ず返る。

現代の市場経済、会計は、一定期間で一巡する事を前提ととして成り立っている。

始まりと終末が一体であり、始まりは、終わりを表し、終わりは始まりを表しているのである。

故に、ここでは、坤を始生とする。
坤は、始生の相であり、転復の相をも意味する。会計上は淘汰の時である。
始原を表すそうであると同時に、再生を意味する相でもある。全ては、負、陰を表す。日常の収支が負で、再生のための投資を過去の累積を食いつぶしながら再生を期している象である。

震は、漸盛・転復の相であり、再建途上の相でもある。会計上は、創業時を表す。

離は、旺盛を表す相である。営業収入によって借入金による投資もしている。成長期を表す相である。

兌は、危うい相である。始衰を意味する。営業収入で稼げなくなり、資産を売却しながら、借入金によって何とか資金繰りをしている事が覗える。会計上は衰退期に属している。

乾は、転復の相である。事業転換を図っている企業に見られる象である。営業収支は好調に見えるが、借入金をして新規事業を模索している企業に現れる相である。会計上は、淘汰期に属している。

巽は、始衰の相である。営業収支に陰りが見え、資産を売却して借入金の返済を優先し縮小均衡を目指している企業に見られる象である。会計上は、淘汰期に属す。

坎も、始衰の相である。営業収支が悪化し、資産を売却して借入金の返済に充てている企業に見られる相である。金融機関から融資が立たれた可能性があり、融資先との関係を見る必要がある。会計上は衰退期を表す。

艮は、盛極の相である。目標とすべき象である。本業で十分な収入があり、収入によって投資や借金の返済に充てている理想とすべき企業の象である。会計上は成熟期を表している。

爻の勢いによっても経営の状態は変わる。
艮で三爻に勢いがあり、初爻の借入金を返済し、二爻の投資の資金を収入から賄えるときは、経営は良好である。しかし、陽に勢いがなく後に坤が続くようだと一気に衰退に進んでしまう事がある。
兌は、利益は陰だが、陰の力が弱い場合と強い場合とでは、様相は全く違ってくる。陰の力が弱く、後に乾や離が続く場合は、飛躍のための準備とみる事ができる。また、創業期にもよく表れる相である。しかし、陰の力が強いと後に震が来るようだと始衰の相となる。

経営における外卦の象は、人・物・金を表していると私は考える。

経済の卦は、人・物・金の働きを表す。
物と金との卦は、錯卦(裏卦)となる。
決算残高と金の働きとは、錯卦となる。

私は、外卦に期間損益に基づく、消長を配する。
期間損益における企業のライフサイクル、消長の中軸は売り上げにある。
売上は、企業を創生期、成長期、成熟期、淘汰の時期、衰退期に分けると創業期から成長期、成熟期を通じて上昇、拡大し、淘汰の時期、衰退期は減少、縮小していくと推測される。

期間損益

   坎  艮  震  巽  離  坤  兌  乾
利益の増減
収益の増減
総資産の増減

期間損益を後天八卦の並びで損益の状態を考察すると以下の如くなる。

増収増益の相は、乾と巽。増収減益の相は、坎と兌。減収増益の相は、艮と離。減収減益の相は、坤と震である。
比は、坎と兌、艮と離で、艮と離は、減収、則、陰が増益、則、陽を承け、坎と兌は、減益、則、陰が増益、則、陽の上に乗る。

経営の消長は、前期・当期・後期で卦がどのように変化するかを予測する。つまり、卦によって過去、現在、未来を占うのである。

企業の消長に従って卦を並べてみるとと乾・兌・坎・巽・離・艮・震・坤となる。

乾は、増収増益の相である。順調に収益が上昇し、利益も拡大している中で旺盛に投資をしている時に現れる相である。

兌は、増収減益の相である。順調に収益は拡大しているがまだ利益を出すまでに至らず、引き続き、投資をしている時に現れる相であり、創業期によく表れる象である。

坎は、増収減益の相である。収益が拡大上昇している状態で、利益の低下がみられ財務体質を改善している時に現れる相である。

巽は、増収増益の相である。収益も利益も順調に拡大し、減価償却や借入金の返済が進んでいる時に現れる相であり。ある意味で理想的な象である

離は、減収増益の相である。利益は上がっているけれど収益に陰りが見え、新規事業などに投資ている時に現れる象である。

艮は、減収増益の相である。収益が悪化していながら、増益している。利益が出ているうちにリストラなどで財務体質を改善している時に現れる相である。

震は、減収減益の相である。本業の収益が悪化し、利益も出ない状態で、借入金が増加している時に現れる相である。

坤は、減収減益の相である。減収減益によって事業を縮小している時に現れる相である。

次に、原価、経費、金利、特別損益、税の消長を見る。
原価は、収益から粗利益を引いた値とし、経費は、粗利益から営業利益を引いた値とし、金融損益は、営業利益から経常利益を引いた値、特別損益し、経常利益から税引き前利益を引いた値、税は、税引き前利益から税引き後利益を引いた値とする。
消長は、当期と前年の増減によって測る。

期間損益の消長を見る場合、中爻が重要となる。中爻、すなわち、二行は、投資の有無を五爻は、収益の消長を表している。故に、収益を基礎とした場合、費用が陽で、収益が陰とする。

経営は、いろいろな角度から見る必要がある。また、前後左右を比べる必要がある。
そのために有意義なのは、変爻である。

卦を構成する指標を変えると変爻が表れる。
一つの卦に複数の変爻が表れた時は、本卦を基礎とする。
本卦は現状を示し、之爻は、趨勢を表している。
また、綜卦と錯卦も重要である。
変爻は、本卦の変易を表す。変爻は、経営の過去・現在・未来の形と相を顕わしている。

実際に占ってみると創業期としてよく表れる卦は、内卦が離、震。外卦が坤、兌を想定すると、内卦が離で外卦が乾の天火同人。内卦が離で外卦が兌の澤火革。内卦が震で外卦が乾の天雷无妄。内卦が震で外卦が兌の澤雷随。

離は、営業キャッシュフローと財務キャッシュフローが陽で投資キャッシュフローが陰。震は、財務キャシュフローだけが陽で、営業キャシュフローが陰の相。
乾は、利益、売上、総資本、全てが陽で兌は、利益だけが陰で売上、総資本ともに陽の相。

創業期だから初爻を見ると天火同人は、同人于門。无咎。志を同じくする人と組めば問題はない。
澤火革は、鞏用黄牛之革。変革に備えて焦らず時機を見よ。
天雷无妄は、无妄往吉。天に従い小細工を弄さなければ吉。誠心誠意やればうまくいく。
澤雷随は、官有渝。貞吉。出門交有功。自分の殻にこもらずに時流に順応していい時とある。

易の根本は、二進法であり、パターン認識である。
これは現在の最先端技術に通じている。
この事は、中国の未来を暗示している。
中国人が中国人の原点である易に立ち返った時、無限の可能性を発揮する事ができる。
その時、人類は新たな時代へと突入するのである。

太極経済の目指すところは、中庸にある。
それこそが中国四千年の知恵である。

陽の力が強まれば、陰の力も強くなる。
陰の力が強まれば、陽の力が強くなる。
成長が極まれば負債も膨張する。
負債が圧縮されれば、成長力も弱まるのである。

経済で重視すべきなのは、陰陽の調和である。

一元にして復た始まる。
物極まれば必ず返る。

利物足以和義。貞固足以幹事。
物を利すればもって義を和するに足り、貞固なればもって事に幹たるに足る。(文言伝)

陽のみを是とせず、陰必ずしも否とはしない。
拡大や成長のみを是とせず。縮小や成熟をも是とする。
競争や争いのみを求めず、協調や調和をも求める。

競争は、技術革新を促し価格を抑制する働きがある。経済を活気づけ、発展、成長させる。しかし、行き過ぎれば利益を得る事ができなくなり、節度や調和を失う。
協定は、利益をもたらし、安定を約束する。しかし、経済を停滞させ、格差を広げる。協調は平穏無事である。
競争のみが是なのではなく。協調のみが是なのではない。

市場の活力が失われれば競争を促す政策をとるべきであり、市場が過熱したら競争を抑制する政策をとるべきなのである。
経済の根本は循環にある。成長なら成長、競争なら、競争という何事も一定方向の政策しかとらない、とれない現在の経済では、市場の安定を維持する事はできない。

義に反せねば利が求められなくなる体制はおかしく。利のために義を軽んずる社会には欠陥があるのである。

子程子曰、不偏之謂中、不易之謂庸。中者天下之正道、庸者天下之定理。
子程子(していし)曰く、偏らざるをこれ中(ちゅう)と謂い、易わらざる(かわらざる)をこれ庸(よう)と謂う。中は天下の正道にして、庸は天下の定理なり。




太极经济
续太极经济
天火同人
石油・石炭産業の卦
五行





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