内部資金・外部資金



現代の日本経済の現状は、キャッシュフロー分析や相関分析を見れば明瞭である。

プラザ合意に端を発する円高不況のよって本業の収益が圧迫された民間企業は、財テクに活路を見出そうとした。そして、財テクによる資産価値の急激な上昇は、相続税対策に拍車をかける。折からのブッラクマンデーで金融引き締めの機会を逃す。その為に、資産価値の上昇は歯止めを失った。
これがバブルの伏線である。
資産価値の上昇によって多額の未実現利益を企業は蓄える事になる。その事が企業のオーバーローンを生み出す。バブル現象の始まりである。

バブルがはじけるとオーバーローン気味だった多くの企業は、新規の融資が受けられなくな。その為に市場から借り手がいなくなった。民間企業に替わって借り手として台頭するのが一般政府である。
そして、金融を緩和することで市場に資金を供給しようと画策するも担保力を失った民間企業に金融機関は、融資を渋り続けるのである。故にいくら笛吹けども市場には資金が流れてこなかったのである。

企業の資金調達は、2000年を境に外部調達から内部調達へと移行する。

資金の外部調達、内部調達 単位 一兆円
89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99
外部調達 476 691 630 379 227 113 69 37 29 62 32
内部調達 583 704 636 650 479 336 430 540 517 442 338

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
外部調達 -98 -105 -67 -235 -260 -320 -265 -140 -33 126 -66
内部調達 551 677 399 413 720 796 1011 773 574 249 509
法人企業統計


法人企業統計


民間企業は、赤字主体から黒字主体へと転換する。
しかも、同時に規制緩和が並行した進んだことで、企業の収益力が低下し、市場は、縮小均衡へと進むことになる。
市場が縮小均衡に向かい実物市場に資金が流れなくなった事によって経済成長は止まる。
更に付け加えれば、強引な不良債権潰しで市場の底を踏み抜き。土地が回復しかけた時、リーマンショックが水をかけたとも言える。

  負債・資金過不足フロー(単位100億円)
1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995
民間非金融法人企業 -236 -369 -413 -297 -146 50 -14
家計 363 459 452 514 476 388 327
一般政府 61 112 169 -16 -85 -178 -173
海外 -87 -54 -111 -149 -140 -122 -92
金融機関 -16 -132 -114 36 -36 -33 39
日本銀行

自業自得ともいえるが、借り手がいなくなり、金利が低下した事で金融機関の業績は急速に悪化する。金利をいくら低くしても借り手が表れない。それは資産価値が下落した事で担保価値が低下した事によるのと、金融機関が極端な保守主義に陥った事に起因している。中小金融機関の預担は、急速に低下し2017年現在、中小金融機関は50%を切るまでに至っている。
この様な状態は、資産価値の下落がもたらした事であって民間企業や金融機関の経営の仕方が悪かったからではない。資産価値の下落が、過剰投資、過剰負債、過剰雇用の状態を招いたのである。この点を錯覚してはならない。経済的状態というのは、その経済的状態を成立させている状態とその状態を引き起こした要因の二つから検証すべきであり、結果だけから判断すると物事の本質を見誤り、適切な対策が立てられなくなる。病気で体力を失っている時に、更に体力を奪う行為を強要すれば病気は改善せずに悪化するだけである。

また、市場から借り手がいなくなったことに対応して政府が借り手となり、財政赤字に悪化すると同時、大量の資金が金融市場に供給される。

資金は金融市場に滞留して金余り現象を引き起こす。金余り現象を解消するために日銀が大量の国債を購入せざるを得なくなるのである。日銀は、資金を市場に循環させるために、金利を下げゼロ金利、マイナス金利状態にあちいる。それでも資金が流れないから量的緩和にまで踏み込んだ。
それでも、資金は、市場に供給されない。それが現状である。

施策も明らかである。
土地の流動性を高めて資産価値を上昇させる。一定の規制をかして競争を抑制し、企業の収益力を向上させる。金利と税を調整して景気を制御する。公共投資を抑制して、財政の健全化を図る。





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