市場の規律


 今の日本人の間違いは、戦争や内乱の原因が軍の存在にあると思い込んでいることである。戦争や内乱は、政治と外交の破綻にある。軍の暴走を問題とするならば、軍の暴走を許す政治を問題とすべきなのである。この点を自分は、自分なりに糾していきたい。

 資本主義経済は、会計と法学と数学の上に成り立っている。故に、経済学は、会計と法学と数学の融合の上に成立すべき学問である。ところが現在の経済学は、経済学としてしか成立していない。

 貨幣価値は、経済的価値から派生する価値である。貨幣価値は、経済的価値の部分であり、全体ではない。貨幣価値は、経済的価値に従属した価値である。即ち、独立した価値ではない。

 経済的価値と貨幣価値とは同じ価値ではない。経済的価値とは、潜在的に在る価値である。即ち、生活に必要な物としての価値は、貨幣価値が成立する以前から存在する。貨幣価値というのは、経済的価値を交換する必要が生じた時に派生する価値、即ち、交換価値に基づいて成立する価値である。
 貨幣価値というのは、所与の価値として存在する価値ではなく、交換する必要性により変換されることによって生じる任意の価値であり、基本的に数値として表現される。即ち、潜在的な価値である。
 貨幣価値は、財と別個に存在するというのは、錯覚である。或いは、結果的な認識である。貨幣価値は、本来、財と切り離しては考えられない価値である。即ち、貨幣価値は財の属性なのである。少なくとも貨幣価値が成立する当初は、財を変換する必要があるのである。それが貨幣価値の裏付けでもある。
 貨幣価値は、貨幣という物として表現される。貨幣価値は、貨幣に置き換わった瞬間、貨幣としての実体を持つ。そして、貨幣その物が財としての実体を持つようになる。その為に、貨幣価値は、操作することが可能となる。それは、言語が文字によって、数値が数字によって実体化されるのと似ている。 
 貨幣価値が実体化されると貨幣価値を所有したり、貯蔵することが可能となる。貨幣価値を所有したり、貯蔵することが可能となると、次ぎに、貨幣価値を貸し借りすることが可能となる。それが、貨幣の潜在的な力を持たせることになる。
 そして、貨幣価値の貸し借りは、債権と債務を生じさせる。債権と債務は、負債を成立させる。負債は、その財の元にある価値を増幅させる作用がある。それが経済における位置エネルギーの源である。

 表象貨幣の価値は、手持ちの資産の潜在的価値が前提となる。即ち、貨幣経済は、手持ち資金を零として設定されているわけではなく。ある程度の持ち分を想定することによって成り立っている。トランプのゲームや麻雀を思い浮かべればいい。トランプのゲームや麻雀は、最初に各々が何等かの手持ち、或いは、取り分を所有、保有していることが前提となる。掛け金のない者は参加できないのである。貨幣経済の原点は、手持ち貨幣の有り高、残高によって決まる。そして、最初の手持ち資金は、借金によって賄われる。
 そして、麻雀やトランプのように予め手持ちの資金は、必要に応じて手持ちの資産を現金化、即ち、貨幣への転換する事によって調整されているのである。その転換操作によって発生するのが債務、即ち、負債である。逆に言うと、貸し借りという操作によって貨幣は創造されるのである。それが信用価値である。つまり、貨幣価値というのは信用価値でもある。
 要するに、貨幣価値は、経済的価値の潜在的位置、保有量を前提として成り立っている。最初から決まった貨幣量が想定されているわけではない。貨幣の総量は、経済の状況によって調整されるべきものなのである。

 貨幣的価値は、最終的には、自然数に還元される。それは貨幣が物としての実体があるからである。即ち、貨幣価値は、分離量だからである。しかし、経済的価値は、連続量である。故に、経済的価値は、必ずしも自然数に還元されるとは限らない。

 所得は、分離量で計算されるが、労働は連続量である。

 物理現象は、長さと時間と質量によって測られるが、経済現象は、貨幣価値(交換価値)と時間と質量によって測られる。
 物理量で基準になるのが単位であるのに対し、経済の基準は単価である。即ち、単位は、一単位あたりの量であり、単価は、一単位あたりの貨幣価値である。

 会計の問題は、典型的な集合の問題であり、線形代数的な問題である。

 現在採用されている経済政策の多くが、補助金や借入保証のような資金繰りに関連した政策と公共事業のような失業対策の面に重点が置かれているが、結局、企業収益が回復しない限り、本格的な景気の回復には結びつかない。その為には、収益構造の改善策を採る必要がある。
 物価の下落は、担保価値の下落、収益の悪化、雇用の減少、所得の減少を同時に併発する。その根本にあるのは、民間企業の収益力の悪化である。
 補助金や借入保証は、直接期間損益を改善する策ではない。失業対策も然りである。公共事業は、特定の業種に偏った策である。もう一つは、公共投資をしても資金が循環するように流れない限り意味はない。過去の借金の返済の方向にばかり資金が流れたら、市場に資金は循環しないのである。
 故に景気対策は、金融政策とか、公共事業の積み増しと言った単発的な政策ではなく。資金繰りに対する対策を図ると同時に、収益の改善策や雇用の促進策、会計基準の変更と言った策を複合的に行う必要がある。
 問題は市場の規律であり、市場が正常に機能するように規制することなのである。


                    


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