大きな資金の流れ


大きなお金の基本的流れというのは、お金を借りて物を買う、あるいは投資をするという流れと、お金を貸して物を売る、あるいは、投資をさせるという形の二つが主である。
この他に、お金を無償で相手に渡して物やサービスを売るかあるいは投資を促す、又は、無償でお金を受け取って物やサービスを買うか投資をするという場合もあるが、それはきわめて稀である。
故に、基本的には、お金の流れは、借りて物を買うか、投資をする。お金を貸して物を売るか、投資を促すのいずれであるが、この関係は、表裏をなす関係である。

貸し借りの流れによって債権と債務が生じる。貸借関係が成立し、通貨が流れると通貨の流量と同量の債権と債務が派生する。債権は資産を形成し、債務は負債と資本を形成する。債権と債務の量が通貨の流量を制約する。債権と債務は常に均衡し、それが複式簿記の前提となっている。

お金を貸して物やサービスを売る、あるいは投資を促すという行為とお金を借りて物やサービスを買う、あるいは、投資するという行為は表裏をなしていてその量は等しい。それは個々の取引が等価である事を前提とするからである。
そして、この関係は、取引によって生じる市場全体の貨幣価値の総和は零である事を意味する。これが現在の市場経済の大前提である。

無償でお金を手渡す行為は、贈与である。国家的な贈与の例としては、戦時賠償や戦争を含む災害復興資金、政府開発支援(ODA)等がある。

戦争賠償は、第一次世界大戦後にドイツ人に課せられた過大な賠償金がドイツのハイパーインフレの引き金を引き、ひいては、ナチスの台頭を許し、第二次世界体制を準備したと言われている。
復興支援金としては、欧州復興計画マーシャルプランが有名で、第一次大戦後のドイツに対する戦時賠償とは逆に、戦後ヨーロッパの復興の基礎を築いた。
この様な無償の資金援助も単に消費に向けられている限り、相手国の経済成長に一時的な効果を出す事はできても、持続的に寄与するところは少ない。生産手段に対する投資に向けられる事で、継続的な経済の拡大を触発することが可能なのである。

資金の転移は、贈与のような反対給付が期待できないことは資金の環流を引き起こさない。何らかの生産手段に対する投資でなければならない。

ただ、お金を無償で与えるとか、受けるという行為はきわめて稀で、通常は、経済の大きなお金の流れは、お金を借りて買うか、お金を貸して売るかである。
この関係は表裏をなしている。そして、経済主体間に赤字と黒字の関係を生み出す。赤字の経済主体があれば、黒字の経済主体があるという事を意味する。

通常の流れは、お金を貸して売るか、お金を借りて買うという事である。

経済の仕組みは、いったってシンプルである。
経済を動かしている働きは、売買と貸借しかかない。
売買によって資金が不足した主体は、売買によって余剰資金を得た主体から金を借りる必要がある。そうしないと双方が成り立たなくなるからである。故に、現金収支と貸借とはゼロ和になる。
ゼロ和と言う事は、構造的にどこかが赤字を背負う。全ての主体が黒字になると言う事は構造的に出来ない。
問題は、赤字にせよ、黒字にせよ、一方的に累積する事である。それは、経済に偏りを生じさせるからである。

利益は、基準であり、指標である事を忘れてはならない。そうしないと利益を目的化する傾向が出てくる。利益を目的化すると利益本来の働きが見失われる。鍵を握るのは、現金の働きである。
経済の働きを認識する為には、減価償却費、利益処分、元本の返済がキャッシュフローに与える影響が重要なのである。
特に、利益処分は、税、配当、役員賞与の配分が重要であるが、税引き後利益が元本の返済の資金源に充当されることを見落としてはならない。税引き前利益から税に配分される部分が大きくなるとそれだけ資金繰りが圧迫され、その分、負債が増加する。
場合によっては、現金収支以上の納税をしなければならなくなり、売上による収入以上の資金の流出を招くこともある。それは負債の増加を招く。

経常収支、財政収支、民間収支は、連動している。そして、資本収支と経常収支は、表裏の関係にある。現金が不足している経済主体は余剰の資金を持っている経常収支から借りなければならない。なぜならば、現金収支上は常に残高は、常に、正の値を保たなければならないからである。残高が正の値が保たれないと決済ができなくなる。
ユーロのような共通の通貨に基づく国家間では、財政を一体化する必要がある。それが不可能な場合は、超国家的機関によって過不足を調整する必要が出てくる。
そうしないと、資金の循環が滞り、経常収支の不均衡によって負債が累積する事となる。なぜならば、為替の変動によって経常収支を調節する機能が通貨圏内では働かないからである。
通貨圏域内の不均衡を是正する手段としては、国家間の国際分業を確立し、国家間の収支と貸し借りを均衡させる。又、超国家的な事業によって現金が不足している地域に資金を供給し、雇用を創造する事が考えられる。

財政赤字の国は、お金を貸して物を買う。あるいは投資をしているから赤字になるのである。また、経常赤字の国は、お金を貸して物を売る量よりもお金を借りて物を買う量の方が多いのである。この点を考慮しないと経常赤字の働きや財政赤字の働きは理解できない。
基軸通貨国になる為には、他国に自国の通貨を準備金として持たせておく必要があるから、必然的に、お金を借りて物を買う。つまり、経常赤字国にならざるを得なくなる。
慢性的に赤字を続けると負債は、累積する。
企業が大きくなると多国籍化せざるを得ないのは、赤字と黒字を国家間でスイングしなければ均衡が保てなくなるからである。

財政を立て直す為の一案は、大規模な民間投資を喚起し。現金収支上は、財政を黒字にして、民間を赤字にする。短期的には、損益上で民間は黒字になるように設定する。これらの策によって財政上の赤字を民間に転移する事である。

科学や技術革新によって得た力の根源は神の力である。
人間が創り出した力など何一つない。

神の力を手に入れたとしても神になれるわけではない。
神は力ではない。
神は存在である。

神の力を手に入れたとしてもそれを制御する力がなければ、身を滅ぼすだけである。

俺は、神の力を手に入れたなどと思い上がるのは愚かである。
神の意志を理解しないままに神の力など手に入れたら破滅してしまう。
人は神にはなれない。




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