経済は、人為的空間である。


人は、実在する物によって形成されている空間と意識によって再構成された空間との狭間で生きている。
実在する物の空間では、存在する物は存在する。人の意識によって再構成された世界では認識しない物は存在しない。

人工的空間とは、意識によって実在化された空間である。
経済は、人為的空間である。

セルフスタンド、無人駅、無人ヘリ、無人偵察機、無人工場、無人券売機、無人契約機と現代は無人化ばやりである。無人化すれば何でも上手く行くみたいに喧伝されてもいる。

理想化された未来像の中にも何もかもが全て機械化され無人化された社会がよく描かれている。ロボット化によって労働者のいなくなった無人工場、自動操縦による無人飛行機、無人自動車、無人電車。それがあたかも理想的社会のように描かれている。挙げ句の果てに戦争すら無人化されてしま何もかもが機械化され自動化される事によって人々は労働から解放される。
働かなくても安全で豊かな社会が実現できる。そう言いたいのかも知れない。
しかし、経済を動かしているのは人である。無人化されたら経済は成り立たなくなるのである。なぜならもお金を分配する仕組みが機能しなくなるからである。
自由主義経済の根本は労働であり、労働によって報酬を得、その報酬の範囲内で分配を受ける仕組みによって市場経済、貨幣経済は機能しているのである。労働、働かなくてもすむと言うわけにはいかない。仮に働かなくてもすむ体制を望むならば、現在の社会を根本から変える必要がある。働かざる者食うべからずと言うのが基本原則なのである。
短絡的な無人化、コスト削減は、雇用機会を奪うだけである。人のいない経済は無意味である。
経済的効率のみを追い求めた無人化というのは、経済や社会から人間性を排除した考え方である。機械化、効率化が悪いというのではない。費用の働きや人の働きの意味も考えずに、ただ競争力を付ければいいとコスト削減、無人化を至上命令としている事が問題なのであ主は、人にある。費用や機械にあるわけではない。
無駄を排除する事ばかりが経済ではない。むしろ、無駄にこそ経済はある。
無人化、コスト削減、効率化の行き着く先は、大量生産、大量消費でしかない。
その先には、資源の浪費や無駄遣い、乱開発、環境破壊などである。
それが現代社会の病巣を形作っている。

労働の機会は均等に存在しなければならない。
生産手段や資源は偏在している。
現代の経済で一番大切なのは雇用だ。雇用を生み出すのは労働である。つまりは仕事である。その事を忘れている。そして、無人化に努めている。コスト削減に励んでいるのである。労働を減らし、仕事を減らしているのである。

経済の問題は、資源の産地、労働力の分布、消費地の位置の不均衡にあると言える。しかし、この不均衡があるから、お金は流れるのだとも言える。
資源、人口、消費の偏りは経済を動かす原動力であると同時に、経済の偏りを生む要因でもある。
大切なのは、資源、人口、消費の偏りは放っておけば解決するという性格の事ではない。人為的に改善する以外にない。

移民問題は、この不均衡を調整しつつ、資金の循環をいかに良くするかの問題である。

国際的な事業によって資金の流れを作り、それによって新しい市場を創り出す以外に解決策はない。その為には、生産的な仕事を創り出す事である。
それは大規模な公共投資とは限らない。
生きる為に必要な仕事は、いくらでもあるのである。小さな商店や食堂、屋台、洋品店、商店街。人々のささやかでも自立的な生活を営める空間を作る事である。
一番、効果的な仕事は、街作りである。自分達の手で、自分達の生活空間を作る。事業の根本は都市計画である。人々が生き生きといけていける空間を自分達の手で作り出させる事である。

働く事、労働は悪だいう思想を現代人は持っている気がする。労働は苦役、働く者は奴隷の如き存在。確かに、労働は楽ではない。しかし、苦でもない。
働く事は本来喜びである。なぜなら、労働にこそ自己実現の芽があるからである。
人は、金の為に働くわけではない。
愛する者、大切な家族の為に働くのである。
子供の為に働く事は、喜びである。
働く事が金の為に変質した時、働く喜びは失われてしまう。
人は金の為に働いているわけではないのである。
金の為に働いて家庭を崩壊させたら身も蓋もない。

経済とは、生きる為の活動に他ならないのである。





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