統制経済
正すべきは今であって、過去ではない。
過去を正すのは今をよくするためである。過去に拘泥して、今を正せなければ、それは本末転倒である。
戦争は、経済的問題が政治的問題に発展した上に起こる。戦争の根本には、経済的問題が隠されている。
経済や政治の仕組みが上手く機能しなくなると人間は暴力的手段に訴えて問題を解決しようとする。それが戦争である。
現在の国際情勢は、第二次世界大戦前夜に酷似してきた。同じ過ちを繰り返してはならない。
歴史的問題に拘る事は、世界を第一次大戦以前に引き戻し、暴力的に報復する事を宣言するような事である。
第一次大戦以前と違うのは、全体主義国が核兵器や生物化学兵器を保有している事である。
特定の民族や人種を生け贄にして自国の愛国心を鼓舞し、自分の権力の温存を図る思想が如何に危険なことか、人間は、身に浸みて理解しているはずである。
我々は、過去の帝国主義や軍国主義、独裁主義を怖れるべきなのか。それとも今日の全体主義、民族主義、国家主義を怖れるべきなのか。
なぜ、統制経済や計画経済、全体主義国が破綻し、自由主義国が破綻しないのか。統制主義経済が破綻して、市場経済が破綻しないのか。
その謎の背後に、経済を動かしている法則が隠されている。それは単に思想と言うだけでなく、実利的な意味もあるのである。
政治体制も経済体制も、双方向の働きがあるから均衡するのである。双方向の働きによって体制に「お金」や人の循環運動を引き起こし、その循環運動によって体制を維持しているのが自由主義体制である。
一方向の働きだけでは、政治も経済も、力の均衡は保たれない。
故に、一方向の働きでは、体制は、均衡が保てずに、分裂してしまう。
取引が経済的対称性を作り出しているのである。取引には、物と金を交換する事を通じて経済的価値をゼロ和に設定し、経済的価値を対象化する働きがある。
取引には、「お金」と「資源」、「資源」と「お金」の二段階で完結する。
一つの取引に於いて成立する。物と金の交換、金と物の交換という取引二重性によってゼロ和と作用反作用の関係が生じる。そして、その取引の二重性が債権と債務の関係を形成する。それが貨幣経済の均衡の源なのである。そして、市場取引によって生じるゼロ和と作用反作用の関係が「お金」の循環を生み出すのである。
それに対して、統制経済や計画経済、全体主義体制は、貨幣や市場という間接的手段を用いず、直接的手段による分配に基礎を置いている。そのために、統制経済や計画経済、全体主義的体制は、物と金、双方向の働きが生じず、一方向的な働きしか働かない。そのために、経済の運動が、周期的運動や循環運動、回転運動にならないのである。
自由主義体制というのは、「お金」を循環させることによって分配構造が分裂し、階層化する事を防ぐことによって成り立っている。
統制経済や計画経済は、双方向の働きがないから一定方向の流れしか作り出せない。統制経済や全体主義体制は、単体では物やお金の循環運動を安定的に制御する事ができない。
故に、現在の統制経済や計画経済、全体主義体制は、循環運動をしている媒体に依存しないとそれ自体では、体制を保てず、求心力を失って分裂していく危険性がある。物資や資金の循環が維持されずに一方方向に流れ、それが経済に歪みや偏りを引き起こす危険性があるからである。歪みや偏りを放置すると社会は分裂し、階層化する。
全体主義、統制経済、社会主義体制は経済的に階層化しやすい。
資金がストックされる事は、資金効率が、悪くなる事を意味する。俗に、資金が寝ると表現される。
社会が経済的に階層化されると貧富の格差が拡大する。富裕階級は、資金をストックするようになる。階層化すると資金の運用に偏りが生じ、資金効率が低下する。
貨幣や市場という間接的手段を介さず直接的な手段によって資源の分配を行った場合、資金の全体的な環流は起こらない。
労働力という資源を貨幣や市場という間接的手段を介さず直接的な手段によって分配する事は、個人とお金の環流が起きにくい。
階級が生じやすい、必然的に、社会変革は暴力的手段による事になる。
生産と消費は非対称であり、それが計画経済や統制経済を困難な事にしている。
資金がストックされる事は、資金効率が、悪くなる事を意味する。俗に、資金が寝ると表現される。
階層化すると資金の運用に偏りが生じ、資金効率が低下する。
社会が経済的に階層化されると貧富の格差が拡大する。富裕階級は、資金をストックするようになる。そのために資金効率が著しく低下する。
全体主義や統制主義経済は、国民的合意を背景に持つ施策でない、或いは、制度的な裏付けがない為に、経済を制御する事が難しい。
全体主義や統制主義では、結局、経済問題も暴力的手段でしか解決できなくなるからである。
全体主義、統制経済、社会主義体制と自由主義体制の整合性を取る事は難しいのである。
経済体制が違うと経済紛争を抜本的に解消する事は困難である。
外交的な決着がつかなければ結局、暴力的手段に訴える事となる。
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