我々は、経済の仕組みに何を求めているのか。


我々は、一体全体、経済の仕組みに何を求めているのか。経済の仕組みに何が求められているのか、意外と判然としていない。自分たちが何を求めているのか判然としないうちに「お金」の働きが独り歩きし、気が付いた、自分たちの生活や人生が「お金」に振り回され、支配され、あたかも、「お金」のために生きている様にすらなってしまっている。「お金」は、生きる為の手段である。経済の仕組みは、人々を活かすための仕組みである。
「お金」のために、人々の生活が犠牲になる様では、本末転倒なのである。

経済の仕組みに求められるのは、先ず、人としての何を経済の仕組みに求めるかである。人々が経済に求めるのは、安心して生活が営めることである。次に求めるのは自分の夢を実現する事である。要するに、人々が経済の仕組みに求めるのは幸せにしてくれることである。
生きるというのは、日々の生活に追われるのではなく、長期的な展望が立ったうえでと言う事である。将来に不安があれば安定した生活は維持できない。安心は、安定の上に築かれる。所得、収入でいえば、定職、定収入が維持されることを意味する。定収が保障されていれば、安心して借金もできる。貸す側にしても将来の収入が担保できるのである。
物質的な意味では、第一に生きていく事である。次に、求めるのは豊かさである。
生きていくために必要な資源は、衣食住。特に、食料である。野生の世界で最も重要なのは食料である。野生動物は、衣服を必要としていないし、巣を必要としない動物も多くいる。しかし、食料が得られなければ忽ち絶滅してしまう。何を食べるかによって動物は、分類されるくらいである。つまり、経済の中核は食料だと言える。
自分たちが生きていくために必要な資源は、できれば自分達で全て生産したい。つまり、自給自足が理想である。しかし、今日、完全に自給自足できる国は少ない。なぜならば、生産物には、空間的、時間的偏りがあるからである。
飢餓の原因の多くは、流通問題にある。なぜならば、食料の生産量にはムラがあり、また、保存にも限界があるから交易が途絶えると在庫の平準化できなくなるからである。
つまり、経済の基幹は、食料であり、食料の持つ性格なのである。食料は、毎日消費される。食料がなくなれば人は生きていく事が出来なくなる。食料は、保存がきくものと保存がきかないものがある。それが主食品と副食品の差を生む。食料は、天候や環境によって生産量が変化する。更に、食料の生産量は地理的条件に左右される。そして、食料は、人々の嗜好や風俗、文化に影響される。
先ず常に、新鮮の食料量が供給され続ける事が求められる。同時に、食料の在庫を平準化する事が経済には求められた。
もう一つ重要なのは、生産財を豊富でなければならないという点である。
これが大量生産へとつながる。大量生産は、生産物の均一化を促す。

問題は、いかに生産財を流通させ、分配させるかである。そこに、市場と「お金」が介在する事になる。つまり、市場と「お金」によって物流を作ろうというのである。それが市場経済である。
そして、市場と「お金」が分配の働きを担うようになると経済環境は一変する。「お金」がなければ生きていけなくなったのである。「お金」がなければ何もできなくなったのである。「お金」に支配されるようになったのである。
いかにして、市場に「お金」を満たし、いかにして「お金」を社会の隅々にまで循環させるか。そこに税制の働きが決定的な働きをした。
市場、「お金」、そして、税金は不可分の関係にある。

重要な事は、常に、「お金」を市場に循環させつづる事である。そこで、「お金」の働きにに時間価値が組み込まれたのである。それが金利であり、利益、即ち、付加価値である。
付加価値は、「お金」を循環させる為の原動力である。

経済の仕組みに求められるのは、第一に、人々が生き行くためにに必要な物を調達、あるいは、生産する事。第二に、生きていくために必要な物を必要とする人に、必要な時に、必要なだけ提供する事である。第三に、道路などの社会資本を構築する。第四に、畑や漁船、工場設備等の生産手段を建設する。第五に、住宅などの消費手段を作る。第六に、需要に合わせて生産量を調節する。第七に、「お金」を市場に供給する。第八に、働きに応じて「お金」を全ての消費者に満遍なく分配する。第九に、「お金」を市場に循環させる事である。第十に、「お金」が余っている所から「お金」が不足する処に、「お金」を融通する事である。

現在の市場経済の問題点は、人や物と言う実物経済と「お金」が生み出す名目的経済の乖離にある。「お金」は、ストックを形成し、ストックはは資本を生み出した。資本は、近代経済を飛躍させたと同時に多くの副作用ももたらしたのである。

現在、情報ネットワークが大きく市場を変化させようとしている。しかし、市場が分配の場だという事を正しく理解しそれを経済体制に組み込めなければ、市場経済は、大きく歪んでしまうであろう。その時、市場経済は土台から崩壊してしまう。仮に、情報ネットワークが新たな分配の仕組みを構築する事になれば、その時、人類は新たな時代を迎える事になる。





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