経済は四次元


世界経済は、水平的均衡、垂直的均衡、部門間の均衡、時間的均衡の四つの均衡から成り立っている。
そして、それぞれの均衡は、水平方向、垂直方向、部門間、時間軸の三つの軸を構成する。世界経済空間は、四次元である。

経済は、均衡によって維持されている。水平的均衡、垂直的均衡、部門間の均衡、そして、時間的均衡、この四つの働きが四次元の空間を形成している。
市場経済を動かしているのは、部門間の資金の過不足による。基本的に家計部門と民間法人部門の短期的では、交互に資金不足部門と余剰部門とを入れ替わらせるようにする。
通常は、財政部門は、中立的、即ち、均衡した上に置かれるようにし、資金を供給する時に財政部門を資金不足部門とするよう調節し。財政部門は、期間損益(プライマリーバランス)を視座に入れて運用する。
そして、金融部門は、裏方として中立的立場を維持するように制御し。金融部門が資金余剰部門、資金不足部門として表面に現れるようでは資金繰りが上手くいっていない事になる。財政と金融は、表裏一体となって資金循環の中枢として機能するようにする。
海外部門は、国際分業の観点に立って経常収支と資本収支が均衡するように調節する。海外部門は、水平的均衡を保つ部門でもある。水平的均衡と言うのは、国際市場の均衡を言う。国際市場における経常収支の総和は、ゼロ和、即ち均衡している。
絶対に赤字は悪いと決めつけるのではなく。資金と損益の関係をよく見て判断するように心がけるべきでなのである。

経済の本質は、分配である。今日の市場経済では、「お金」が循環する過程で生産財が分配される。市場経済は、資金が循環する事によって機能している。資金満遍なく社会全体に行渡らないと市場は、資金が流れない部分から壊死していく。故に、いかに、資金を社会全体に行渡らせるかが、市場経済最大の課題である。

資金の循環を妨げるのは、資金の偏在と流れの歪である。
資金の偏在と、流れの歪を生む根本的な要因は二つある。一つは、所与の条件である。二つ目に、資金の過不足と流れが生み出す要因である。

所与の条件とは、物的、地理的、人的、前提条件である。例えば、中東の産油国の様に何らかの資源に恵まれているが、砂漠に囲まれて人が生きていく環境としては過酷な国と日本の様に資源に恵まれていないが、人が住む環境としてはいい条件の国といった様に、国家が成り立っている基礎的要件からくる歪みである。同じ国でも沿海部と内陸部では市場が成り立っている条件が違う。この様な所与の条件は、経済の在り方に決定的な制約をもたらす。

資金の流れを阻害するもう一つの原因は、資金の流れによって作られる資金の偏在と資金の流れの歪である。
市場経済を機能させているのは、資金の流れである。資金の流れを生み出すのは、資金の過不足であり、資金の過不足を均衡させようとする働きである。資金の流れを阻害する歪みには、水平的歪み、垂直的歪み、部門間の歪み。時間的歪みがある。

これらの歪みや偏りは、放置すれば自然に均衡するという間違った認識がある。しかし、現実は、放置すれば歪みは拡大し、格差や差別の原因となる。

国民経済統計では、世界経済を構成する主体として国内、国外に分類し、国外を海外部門と独立させたうえで、国内経済を構成する取引主体を「非金融法人企業」、「金融機関」、「一般政府」、「家計」、「対家計民間非営利団体」の五つの部門に分類する。
この内、対家計民間非営利団体は規模が小さいために、一般に世界経済は、「非金融法人企業」、「金融機関」、「一般政府」、「家計」に「海外部門」を加えた五つの部門によって経済は成り立っていると考える。

「非金融法人企業」、「金融機関」、「一般政府」、「家計」、「海外部門」に分類する根拠は、それぞれの働き役割の違いによる。
それぞれの役割とは、「非金融法人企業」は、生産・流通、「金融機関」は、資金を融通する事で資金の過不足を補う、「一般政府」は、所得の再配分と社会資本の構築、税の徴収と行政運営、「家計」は、消費、「海外部門」は、国外との交易を担っている。また、「対家計民間非営利団体」は、非営利事業を担っている。「対家計民間非営利団体」は、あくまでも経済規模が小さく経済に与える影響が少ないという事で、経済分析から除外されるのであって仕事のや周りの重要性は他の部門と遜色ない。むしろ、政治的には重大な役割を担っている。

各部門は、各々経済的な役割がある。経済は基本的に分配の仕組みである。分配は、「お金」を市場に循環させることで成り立っている。
家計は、消費の単位であり分配の根拠となり、労働力の源となる。
企業は、生産の単位であり、収入と個人所得を整流する。
財政は、公共サービスを提供し、共有資産(社会資本)を構築し、所得を再配分する。
金融は、「お金」を供給し、過不足を是正し、」「お金」を市場に還流する。
海外部門は、国内の財の不足を補い。国家間の決済を準備する。

各部門は、各々の役割に応じて経済的な働きに違いが生じる。例えば、投資は、「非金融法人企業」は、生産手段に対する投資で主として設備投資、「金融機関」は、金融投資。「一般政府」は、社会資本に対する公共投資、「家計」は、住宅投資に代表される消費投資、「海外部門」は、国外との交易に伴う海外投資である。

「お金」は、貸し借りによって生産される。「お金」の貸し借りは、同量の債権と債務を生み出す。債権と債務は対称的である。
債権債務から市場取引によって付加価値が生産される。付加価値は、空間的距離、時差などによって作られる。
付加価値は、時間価値に変換される。時間価値に基づいて付加価値は、費用化され利益、減価償却費、人件費、地代・家賃、金利、税に分配される。
減価償却や地代。家賃は、設備投資として生産手段の働きを意味する。人件費は所得に還元され消費の原資となる。税は、財政の原資となり、金利はストックを働き現わす。利益は、預金に蓄積される。ただ気を付けなければならないのは、減価償却と利益は資金の流れと一致していないという点である。
債権と債務は、ストックの規模を特定し、付加価値は、フローを作る。経済効率は、ストックの規模と付加価値の幅、そして、その内訳(分配の割合)によって決まる。
期間損益は、その働きに基づいて設定されている。即ち、費用に見合う収益を獲得する事を前提に総資産、総資本、収益、負債の関係によって経済的整合性を計測する手段が期間損益なのである。
財政は、予定される支出に対してどれだけの歳入が必要かである。そして、その歳出歳入構造の前提となる国債の残高である。
この関係が資金効率を表している。

貿易摩擦の本質は、競争力ではなくて雇用である。仕事が減る事が問題なのである。
済成長や発展、内需を担っているのは、労働生産性が低いと言われる労働集約的産業である。そこが効率化され過ぎると経済の活力が失われ、雇用が損なわれるのである。
経済の仕組みの主たる役割は分配にある。

問題を解決しようとした場合、問題の本質を正確に理解しておく必要がある。
まず、何が問題なのかを理解しないで闇雲に答えを出そうとしても解答に辿り着く事は難しい。
そもそも、前提が間違っていたら例え答えがあっていたとしても後々厄介な課題を残してしまう。
目的が明確でないと、答えを導き出そうにもどちらの方向に向かっていけばいいのか検討すらつかない。
目先の現象に囚われていたら、その背景にある病巣や構造を見失ってとんでもない方向に走ってしまう。
問題を問題としてしかとらえられなければ、偏見や先入観から逃れられなくなり、独断を招く。
貿易摩擦は、その典型である。

経済は、家計、企業、財政、海外、金融の五つの部門から成り立っている。厳密にいえば、「対家計民間非営利団体」があるが、政治的な影響力は別にして経済的には、影響力が小さいから度外視してもいい。
各部門の働き、役割は、家計は、消費の単位であり分配の根拠となり、労働力の源となる。企業は、生産の単位であり、収入と個人所得を整流する。財政は、公共サービスを提供し、共有資産(社会資本)を構築し、所得を再配分する。金融は、「お金」を供給し、過不足を是正し、還流する。海外部門は、国内の財の不足を補い。国家間の決済を準備する。
経済の目的は、分配にある。その分配の根源は、即ち、分配する相手は、全ての人民である。つまり、満遍なく全ての人に富を分け与える事が経済の仕組みに求められることなのである。
その為にはどの様な手段によって何を根拠とすべきなのか。それが経済の機構、仕組みの設計思想となるのである。
国民経済、自由経済では、分配する手段は、所得である。必要な資源を市場で所得に応じて調達させることで公平な分配を実現する。それが自由経済の根本思想であり、国民国家の理念なのである。全ての国民に公平に所得を行渡らせる事、それが、国民国家を実現するためには必須となる。それ故に、所得を与える根拠として全ての人が等しく所有する労働力を基準とするというのが自由経済の基本理念である。
それは、最終的には、賃金労働に所得の基準を収斂させるという考え方になる。その場合、私的所有権との兼ね合いが重要となる。なぜならば、私的財産も生産手段となり、所得を生み出すからである。この二つの資金源をいかに調和させるかが自由主義の肝となる。

この世は神によって統一される。
この世は神において統一される。
神は存在そのものである。
神のみが自身の力で存在できる。
神は人間の意識が生まれる前から存在している。




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