経済は数学である


経済は、数学である。市場経済は、数学として極めて単純明快な基礎の上に構築されている。その基礎が複式簿記であり、会計である。
基礎となる数学は、数論と群論、線形代数、そして、検証としての統計学である。

市場経済の数学的基礎は、複式簿記にある。複式簿記は芸術的でもある。

現在の経済政策は、数学的体系に基づいていない事である。単に表層に現れる現象
に数式を当て嵌めているに過ぎない。数学的論理性、一貫性がないのである。

数学的論理性に基づいて経済数学を組み立て、人工知能を活用すれば経済予測はかなりのところまで精度を高める事が可能である。

市場経済を動かしているのは、資金の過不足である。資金の過不足を矯正しようとする事で資金の流れが生まれる。資金の過不足を生み出すのは資金移動である。こうなると卵が先か、鶏が先かの議論に陥り易いが、基本的には、資金の過不足が資金の流れを産み。資金の過不足を生み出すのは資金の移動だという関係を頭においておけばいい。

市場取引は、売買取引と貸借取引から成る。生産財の分配の手段の実際は、売買取引にある。貸借取引は、売買取引に使用する貨幣の過不足を補うことを目的とした取引である。資金は、資金の過不足の差を補うように循環する。資金は、循環する必要があるのである。故に、売買の差と貸借の差は、常に均衡している。これが期間損益の前提となる。
売買は分配を実現し、貸借は、売買を準備する。
売買取引が成立する前提は、売買に必要な資金が、売買取引によって生きる為に必要な資源を手に入れようとする人達に、行き渡っていることである。その為に貸借取引がある。貸借取引は、資金の過不足を補う事を根本的目的としている。

決算書と言うのは、資金の過不足の状態と、資金移動の状態を観測する為にあると言える。
そして、資金の過不足の状態と資金の流れの前提条件を設定するのが投資である。故に、期間投資は、投資を根拠とし、投資から始まる。

資金の過不足は、部門間に歪みを生む。その歪みを是正しようとする力によって市場は動かされている。資金の過不足は、基本的に貸し借りと税によって調節される。単年度の資金の過不足は、売買によって引き起こされるからそれを貸借によって均衡させる。その為に、単年度に限っては、売買と貸借は均衡している。しかし、資金の過不足は、貸借に蓄積される。

損益上に現れない資金の動きがある。資金の動きがあるという事は、資金の過不足がある事を意味している。
損益上に現れてこない資金の動きとは、期間損益と現金収支の違いから生じる。
収益と収入は違う。費用と支出は違う。この点をよく理解する事である。
収益ではあるが、収入ではない勘定。収益ではないが収入と見なされる勘定。費用ではあるが、支出されない勘定。費用ではない支出。これらが損益上に現れない資金の流れを作っている。そして、これは経済の動きを見る時、重要な役割を果たす。
収益だが収入がない勘定の典型は、売掛金である。収益ではないが収入がある勘定で大きいのは、借入金や増資である。費用ではあるが、支出のない勘定で代表的は、減価償却費である。費用ではない支出で一番大きくて見えてこないのは、借入金の返済である。そして、これらの収益、収入、費用、支出が実は経済の枢要な働きをしているのである。もう一つ加えるとしたら、収入のない借入金として買掛金である。
ここでキーワードとなるのは、運転資本、減価償却費、借入金の返済、増資である。これらは、フローとストック、短期資金と長期資金の働きに関わっているのである。また、目に見えない大きな資金の流れを作り出している。バブルやバブル崩壊後の経済情勢を陰で操っているのもこれらの資金の働きである。





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