世界は一つ



世界は一つ。
経済的空間で、世界を一つに調和させているのがゼロサム関係である。
つまり、一はゼロに通じているである。

経済は、均衡しようとする力と不均衡との間を揺れ動く時に発生されるエネルギーによって作動する。
現代人は、短期的な均衡、部分的ばかりに目を奪われて長期的均衡、全体的均衡を見落とす傾向がある。しかし、短期的な不均衡をどう長期的な均衡によって調節するかが、経済施策であり。短期的均衡、部分的均衡ばかりを問題にすると経済は、長期的均衡、全体的均衡がとれなくなり、経済は正常に機能しなくなる。

経常収支(民間部門、公共部門、海外部門)と資本収支(民間部門、公共部門、海外部門)支払準備残高(民間部門、公共部門、海外部門)は垂直的均衡の関係にある。それに対し、経常収支の総和、資本収支の総和、貿易収支の総和等は水平的均衡の関係にある。経済主体間の総和も水平的に均衡する。

経常収支と資本収支、支払準備残高は、全体でも経済主体内でもゼロサムである。
経常収支、資本収支、支払準備は水平的にもゼロサムである。
故に、全体的にもゼロ和である。
貨幣現象は、短期的にゼロ和であれば、長期的にもゼロサムになる。
垂直的にゼロ和というのは、経済主体の範囲内でゼロサムである事を意味する。
水平的にゼロ和というのは、経済主体間を集計した総和がゼロである事を意味する。
経済主体には、公的部門、民間部門、海外部門がある。
更に民間部門は、家計と企業がある。
公的部門は、財政収支と公的機関の貸し借りを言う。
通貨の発行は、公的機関の借りを意味する。

市場の貨幣的規模を決めるのは、通貨の供給量と回転数である。

財政は、投資と国家の収支、貸借からなる。単年度の収支は、財政の貸借に蓄積される。
財政が黒字になれば、国債は減る。国債が減れば、民間、或いは、海外の負債は増える。
民間の負債が増える事は、民間の消費と投資に影響する。
民間の家計部門の負債が同じならば、民間企業の負債は増える。民間企業の負債は、金融市場と資本市場に反映される。
財政収支は、通貨の増減に直接的に結びついている。公共投資が減れば、国の借金が減る代わりに、通貨の流量は減る。問題は、通貨の供給量と回収量の下限の問題である。

海外への負債は、海外の資本市場に影響する。
国家間にも貸し借り関係が生じる。
貸し手は借り手があって成り立ち、借り手は貸し手があって成り立つ。
問題は、限度と振れ幅である。それが貨幣の量を決める。
国外への資金の流出は、海外に借りを作っているような事である。

黒字国は、赤字国があって成り立っている。
赤字国は、黒字国を支えている。
国際的均衡は、国際的投資と国家間の貸借、通貨の総枠の問題である。
基軸通貨によるのか、決済制度によるのかによっても世界経済の有り様は変わる。

民間の資金は、所得という形で供給される。所得は、生産手段に対する対価として支払われる。民間の支出には、消費と投資がある。民間で資金が余れば、貯蓄し、不足すれば借金をする。貯蓄と負債は、短期的に見てもゼロサムであり、長期的に見てもゼロサムである。貯蓄と負債、そして、投資は蓄積する。

ゼロサムを物で言えば、生産と消費と在庫の関係はゼロサムである。
故に、過剰生産は、消費と在庫を増やす。
問題は、密度であり、量は質によって調整すべきなのである。
生産も消費も量は質によって調整すべきなのである。

物と金は違う。
余剰なお金は累積する。
余剰な物は、全てが累積されるわけではない。

市場取引は、過剰なところから不足しているところへ資源(人、物、金)を配分する事を目的として成り立っている。
経済の役割は、必要な資源を、必要なだけ、必要なところへ配分する事である。

現代の経済は、結果だけが問題とされる。しかし、経済で重要なのは、動機であり必要性である。ただ作ってしまったから消費するというのでは、乱開発や資源の浪費は防げないのである。環境問題や資源問題が深刻化している今、必要な資源を必要なだけ消費できる仕組みが求められている。

経済全体の調和は物質的な経済によって実現される。
生産と雇用、消費、生産手段とをどう調和させるかが問題なのである。貨幣は、生産手段の一種に過ぎないのであり、全てではない。
物の動向によって市場の規制を緩和したり強化し、また、経済主体間を競争させ、或いは、連携させるのである。また、国際投資、公共投資、民間投資を適切に促すのである。そして、経済の制御を実現するのは、市場の仕組みである。

国際投資は、断じて戦争ではない。

世界は一つなのである。


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